J-POPという言葉はその意味合いを、誕生から現在に至るまで常に変化させてきた。J-POPという言葉を最初に使用したのは首都圏のラジオ局である iJ-WAVE/iというのが定説であるが、この言葉が普及した当初は、かなり曖昧な意味合いで使用されていた。

まずJ-POPという呼称は、音楽ジャンルを表すものではない。J-POPの”POP”はポピュラー音楽=人気のある音楽を意味している。だが普及当初はそこに注釈がついていた。「ただしアーティスティックな音楽に限る」と。

ポピュラーなのにポピュラーではないアーティストたちの誕生

この注釈が曖昧さの根源になるわけだが、これはそもそも、この言葉を作ったJ-WAVEが洋楽専門のラジオ局だったことに起因する。彼らは邦楽を流すことを始めるにあたって、それをJ-WAVEのイメージを損なわないアーティストだけに限定した。

つまり日本のポピュラー音楽の頂点であった紅白歌合戦で聞くことができるアイドルの楽曲や演歌を除外したのである。

テレビにあまり出ない実力のあるアーティストたち。これが当初のJ-POPのイメージに近いかもしれない。しかしその後アイドルとアーティストの垣根が徐々に壊れていき、それは宇多田ヒカルの登場で決定的となる。

そう、そこでついにJ-POPが本当の意味で、日本のポピュラー音楽を指す言葉になるのである。その後K-POPの登場で分かりやすい対比ができるようになり、J-POPという言葉の意味はより鮮明になっていく。

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